新時代のキャリアデザイン
-ローカルキャリアが育む未来の働き方・生き方-
【趣 旨】
今後の日本は、高齢化・人口減少の影響により社会構造が変化していくことが予想されます。国及び地方の財政状況を踏まえると、現在の水準で社会インフラを維持することは困難となりつつあり、地域社会において「自助・共助」への依存度が増しています。また、情報技術の革新に起因して現存する仕事や職業が代替されることにともない、人々の職業選択及びライフプランも大きく影響を受けます。私たち親世代にとっては、ますます不確実、不安定、複雑であって先の読めない社会が到来することについての懸念のほうが大きいかもしれません。しかし、このような状況を悲観的に捉えるのではなく、むしろ、新たな時代に即し、子どもたちが真に幸福な人生を送ることができるよう、社会の有り様と人間が生きる価値を改めて見直す必要があると考えます。
「ローカルキャリア」とは、「地域に関わりながら働き、地域という生活者に近いところで生活者と共生関係を持ちながら、地域の人や資源を生かし共創する。」ことを指します。従前から、あらゆる社会的資本が都市部に集中する現在の社会構造の弊害が指摘されていたところ、地域と密接に関わり合いながら自己実現を図ることを選択し、多様な価値観を背景としてキャリア形成を志向する若年層の増加も見られるところです。この事業を通じ、新時代において多様化する「個人のキャリア形成」についての学びを深め、家庭、学校および地域がなすべき役割を考えます。
【内 容】
基調講演・パネルディスカッション
【講 師】
基調講演;ローカルキャリア研究から見えてきた未来のキャリアデザイン
石井重成氏(青森大学准教授、地域人材共創機構代表理事、総務省地域情報化アドバイザー)
【パネリスト】
石井 重成 氏
岩本 悠 氏(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)
古谷 星斗 氏(リクルートワークス研究所・研究員)
山岸 充 氏(石川県立七尾高等学校PTA会長、株式会社バナシス七尾・常務取締役)
【コーディネーター】
森山奈美 氏(株式会社御祓川・代表取締役)
【司 会】
輪瀬 薫 氏(石川県立七尾高等学校PTA副会長)
石井 重成(いしい かずのり) 氏
青森大学准教授/ 一社)地域・人材共創機構代表理事
国際基督教大学を卒業後、経営コンサルティング会社を経て、東日本大震災を機に岩手県釜石市へ移住。地方創生の戦略立案や官民パートナシップを統括。半官半民の地域コーディネーター構想、グローバル金融機関と連携した次世代教育、広域連携による移住・創業支援、DMOによる観光地域づくり、ローカルSDGsなど、人口減少時代の持続可能なまちづくりを推進。
2017年に一般社団法人地域・人材共創機構を設立、『ローカルキャリア白書 -未来の働き方はここにある』を発刊。2021年4月より青森大学准教授。
総務省地域力創造アドバイザー/地域情報化アドバイザー、デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師、環境省「地域循環共生圏プラットフォーム事業」アドバイザー、東青地域移住・交流サポート協議会アドバイザー、ふくしま12市町村移住支援アドバイザー、一社)明和観光商社共創フェロー等。
岩本 悠 氏
(一財)地域・教育魅力化プラットフォーム 代表理事
東京生まれ。学生時代にアジア・アフリカ20ヶ国の地域開発の現場を巡り、その体験学習記『流学日記』を出版。その印税等でアフガニスタンに学校を建設。幼・小・中・高校の教員免許を取得し、卒業後はソニーで人材育成・組織開発・社会貢献事業等に携わる。
2007年より隠岐島前高校魅力化プロジェクトに従事。2015年から島根県教育魅力化特命官として教育と人づくりを推進。2016年第一回特別ソーシャルイノベーター最優秀賞(日本財団)受賞。2017年に一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームを設立。文部科学省中央教育審議会、経済産業省産業構造審議会、内閣府総合科学技術・イノベーション会議等の委員。
共著に『未来を変えた島の学校 -隠岐島前発ふるさと再興への挑戦(岩波書店)』『地域協働による高校魅力化ガイド -社会に開かれた学校をつくる(岩波書店)』
古屋 星斗 氏
リクルートワークス研究所主任研究員/一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事
2011年一橋大学大学院 社会学研究科総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、「未来投資戦略」策定に携わる。
2017年より現職。労働市場について分析するとともに、若手社会人のキャリア形成を研究。また、研究内容を活用し高校生や大学生へのキャリア支援も実施する。直近の研究テーマは、「“行動”で考える若者キャリア」「高校卒就職」「現代の職場環境における若手育成」。経済産業省や大阪府等、自治体・行政との共同研究も多数。
中日新聞教育面において「進路選択の新常識(ニューノーマル)」を連載中のほか、NHKラジオ第一「マイあさ!」のレギュラーコメンテーターも務める。組織行動学会、日本キャリア教育学会所属。
山岸 充 氏
株式会社パナシス七尾・常務取締役/ヤマギシミツル商店代表
石川県七尾市出身。七尾高校卒業後、大学進学を経て秋田県能代市で17年間システムエンジニアとして、運送業、港湾荷役業、通関業、林業のシステム開発に携わる。
平成26年、25年ぶりに七尾市に戻り生活の拠点を移す。
株式会社パナシス七尾に就職、平成28年常務取締役就任。
平成29年ヤマギシミツル商店を開業(不動産賃貸業)。
平成30年度七尾商工会議所青年部専務理事、令和4年度七尾法人会青年部理事等、地域の経済団体へ所属し、地域経済発展への礎となる活動を行う。
令和3年度七尾高校PTA副会長を経て、令和4年度七尾高校PTA会長に就任、現在に至る。
森山奈美(もりやま なみ) 氏
株式会社御祓川 代表取締役
石川県七尾市生まれ。横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒業。都市計画専攻。平成7年 (株)計画情報研究所入社。都市計画コンサルタントとして、地域振興計画、道路計画等を担当。民間まちづくり会社(株)御祓川(みそぎがわ)の設立に携わり、平成11年より同社チーフマネージャーを兼務。平成19年より現職。その取り組みが日本水大賞国土交通大臣賞、ふるさとづくり大賞総務大臣表彰などを受賞。経済産業省「ソーシャルビジネス55選」に選出された。
能登の特産品を取り扱う「能登スタイルストア」を運営するほか、地域の課題解決に挑戦する若者を能登に誘致する実践型インターンシップ「能登留学」、能登半島の地域企業の人材研修・組織開発・採用支援などを担う「能登の人事部」として地域全体の人材育成にも取り組む。能登留学生と生活を共にするインターンハウスの家主でもあり、200名を超える能登留学OBOGが能登に帰る際の拠点になっている。
様々な主体が関わるまちづくりのつなぎ役として、能登の元気を発信し「小さな世界都市・七尾」の実現を目指して日々、挑戦中。